地球ごめん

地球環境について思ったことと、趣味のバイオリンについて書きます。という目的で開設したがなんか考え事の雑記が主。

バイオリン運弓における各指の機能・役割考察

趣味のバイオリンについて書きます。長いです。長いのでざっくりとまとめます。

子供のころからバイオリンやってて今に至ります。なんか技術で壁を感じたので、いろいろ考えました。運弓を今まで右手全体で考えていたのを、各指の機能と役割を自分なりに定義したらスッキリするんじゃないか、と思い、人差し指と親指で運弓、などを試しました。んで感想です。まじめな文章を続きで書いています。

人差し指   :圧力を加える。一番微調整がしやすい。基本的に反時計回り。
中指     :回転中心。
薬指(バカ指):デクの棒。固い指なので固い音を出せそう。あとは小指補助。
小指     :角度調整役。時計回りに弓を動かす。

 

 


バイオリンは子供の頃から習っており、高校くらいまでは単なる習いごととしてあまり向上心を持たず、なんとなくやっていたのですが、高校終わりくらいの頃から少しずつ、良い音に惹かれはじめ、大学入学を機にかなりのめり込みました。
音大などに入れるような熟練者ではありませんが、主に演奏技術について考えてきたことを述べてみたいと思います。とはいっても、指導者ではないのでこれが正解です、というものではなく、こういうことを考えてみた、試してみた、ということの記述です。雑記です。
用語の用い方が間違えていたら悪しからず。

記事件名のとおり、運弓時における各指の機能と役割について考察してみたことを述べます。長いです。

 

①前置き なんで各指の機能について考察しようと思ったか。

運弓の際、単に弓圧を大きく、小さく、から、柔らかい音、硬い音、アタックのついた音(子音的)、そうでない音(母音的)ということを、もっと抽象性を帯びれば、ふくよかな男性オペラ歌手のフォルテッシモ、鳥のさえずり、苦悩、極限まで張り詰めた細い細い糸の緊張感など、様々なことを表現しよう、と試みています。

音の表現だけを考えれたら幸せなのですが、運弓においては中央で弓が暴れる、弦に対する水平面の角度がばらつく、移弦の際に雑音が出る(特に元弓)などの、技術上の不都合もあります。

そうしたときに、今までは、“こういう音が出したい”という表現の欲求については状況の想像、つまり想像力でのアプローチをし、不都合の克服については各指についてあまり考えずあくまで右手全体としての解決法を探っていました。
ただ、運弓における技能はあまりにも多岐に渡り、抽象的なアプローチでは限界を感じていました。(天才でもないし、努力家でもないので)そんなときにふと、「各指の機能、特徴、長所短所を把握すれば、もっと具体的なアプローチができるのでは?」と思いました。

んで、各指の機能を把握するために、人差し指と親指だけで持つ、中指と親指だけで持つ、薬指と親指、小指親指、の2本ずつ、人差指・中指・親指、人差指・薬指・親指、人差指・子指・親指の3本ずつという持ち方で、G線からE線までを弾いてみることを試みました。
なお親指がないと、そもそも弓を持てないので、親指は必須です。
親指については、機能と呼ぶにはあまりにも複雑な役割を持っていると思うので割愛します(アマチュアが語るには恐れ多い)。人差し指と親指で持つ場合は単に「人差し指」といいます。


前置きが長くなりましたが、各指についての考察です。


②各指の役割1 人差し指と親指、等、2本ずつでのアプローチ


●人差し指
そもそも、人差し指と親指だけでは、通常だと弓の保持ができない。シーソーでいう支点が親指であり、弓の重心、人差し指とも自分からみて親指より左にあるため。弓を弦の上において、初めて保持が可能。
上記理由より、弓の重心から元にかけては運弓が極めて困難。重心~元での他の指の大切さがわかる。
重心から先にかけては弓の保持がすごく楽。
そもそも日常生活でも、字や絵を書くときは人差し指で微細な調整をしているので、細かい表現、微調整においては人差し指が一番重要かと。
人差し指が親指より左にある、ということは、垂直であれ、水平であれ弓を反時計回りに回すことができる、ということ。少し専門的っぽい言葉を使えば、回内(ドアノブまわすイメージ)の役割。垂直方向で反時計周りに回せば弓圧が大きくなるし、水平方向で回せば弓が駒寄になる。
いずれにせよ、どちらも音量が大きくなる働き。

まとめると、人差し指:圧担当。弓を反時計周りに回す役割!微調整・表現で重要。


●中指
てこの原理でいう支点の役割。(僕は、親指を中指で受けるように弓を持っています。そこらへんで持つと教わりました)中指と親指だけで持つと、弓がぷらん、と反時計回りに倒れてしまう。回転の中心になっているから。力を入れて持てば弓を地面に対して水平にすることもできるが、無理をしている状態。
中指と親指で運弓すると、圧力をかけることも、抜くことも難しい。回転の中心となっている指なので、逆をいうと回転をかけることができない(一応できるけど筋力がいる)。弓の重さしか圧をかけることができない。水平方向の回転も制御できない。運弓時に弓先が指板方向へ行ってしまう(落ちる感じ)。上体を起こして楽器をうんと高く持って駒寄に落とすしかない。
ついでに、中指で親指を受けているので、親指でグリグリすることで弓の傾き、寝かせる、立てるを制御できる。

まとめ。中指:回転の中心!あと弓の傾き。

 

●薬指(バカ指)
デクの棒。不器用。アホ。固い。
自分から見て、親指よりも右にあるので、時計回りに弓を回転させることができる。人差し指、中指と違い、弓を水平に保つことができる。しかし、中指の隣で回転の中心に近いので、薬指のみで回転させようとすると筋力がいる上、バカ指なので制御がしにくい。
運弓時に、弓の重さより圧を小さくすることができる。しかし制御がしにくく運弓時に弓がポンポン跳ねる。固いから。水平方向については反時計周りに回転させることができないため、中指同様、指板方向に落っこちる。
固さ、デクの棒っぷりがよくも悪くも薬指の最大の特徴と考えている。制御がきかない反面、腕とかの状態をダイレクトに弓に伝えうる。固さがあるので、弓の飛ばし(スピッカート)において重要な役割を果たしそう。(指が柔らかいと、弓が跳ねない)

まとめ。薬指:バカ指、デクの棒。固さを持つ指。(個人的に、薬指をどう使うかにすごく可能性を感じている)

 

●小指
親指から距離があり、ある程度の繊細さがあるので、垂直方向において弓の回転を自在に操れる唯一の指。意外だが、小指と親指での保持が、他のどの指よりも一番安定する。(物理的に言うと、弓の重心による反時計回りの働きを小指で打ち消している)小指によって弓の自在な角度調節ができると考えている。
ただ、パワーがないのが弱点。小指を鍛える、というアプローチもあるのかもしれないが、薬指で小指をうまくフォローしてやるのがいいんじゃないかと思う。小指を鍛えるのは大変そう。
小指と親指だけで運弓すると、弓元~中弓あたりまでは、さほど不都合はないが、それより先にいくと、手、というか体の構造上、制御が難しい。小指が短い都合上、そもそも小指が弓に触れることすら危うく感じる。

まとめ。小指:角度調整役!中弓より先だと(手の形の都合上)活用が難しいか。


以上、各指(と親指)での弓の保持、運弓による知見を述べました。要約すると、

人差し指:圧担当・微調整
中指  :回転中心
薬指  :バカ指・運弓に固さを与える・小指補助
小指  :角度調整役

と言えそうです。


③各指の役割2 人差し指と中指と親指、等、3本ずつでのアプローチ

 

各指単独での役割は上に述べたので、人差し指と中指などを組み合わせたときの特徴を述べます。


●人差し指と中指
人差し指で圧をかけるので、大きな音をだす際中指は特に大事な役割を果たさない。弓の重心~元は弾きづらい。
が、この二つの指を組み合わせることによる一番面白いことは、手首を巻き込むような構えで、人差し指の腹で弓をすくいあげるような持ち方をすることで、人差し指、中指単体ではできなかった時計回りの回転ができる、つまり弓圧を弱めることができる。
抽象的な表現だが、抜くことができる。例えば、人差し指と小指だと、弓圧については0から徐々に加える、という感じになるのに対し、人差し指と中指だと、圧を徐々に抜いて0にする、という感じを実現できる。
また、元弓での、ピアニッシモでの移弦については、小指で角度の微調整をするよりも人差し指で圧を抜いて移弦をするほうが、雑音なくできることもある。(あくまで主観です)

●人差し指と薬指
バカ指、もとい固い指である薬指を支えに表現力巧みでか圧力を担当する人差し指で圧を調整するので、メゾフォルテ以上の、圧のある運弓をする場面、且つ快活さが求められるような場面で効力を発揮する。発揮しそう。発音のはっきりした元気なスタッカート、スピッカートで、この二つの指の組み合わせを意識するといいかも。

●人差し指と小指
親指からもっとも離れた指同士である組み合わせなので、一番安定感がある。ただし、人差し指単独では
圧を加えることはできても抜くことは不得手、小指は力が弱いので微調整ができない。
とにかく安定感が特徴。表現を気にせず、全弓で運弓するのはこの組み合わせが一番やりやすい。

●中指と薬指
人差し指、小指、という調整役を欠いた組み合わせ。一応この組み合わせで全弓を動かすことはできるが、実践的な運弓はできない。ギプスをつけたような感じ。腕や手首で制御するしかない。
運弓時の腕の動かし方がダイレクトに反映される。
運弓技術の基本中の基本である、弓をまっすぐ動かす技術、その熟達度がモロに反映されると考えられる。なので自分は、この組み合わせで運弓の練習をしている。

●中指と小指
この組み合わせも、実践的な運弓はできない。そもそも弓の先のほうでは小指が抜けてしまう。
ただ、弓元における小指の屈伸運動による移弦の練習にはなるかもしれない。

●薬指と小指
ますます実践的な運弓ではない。全然安定しない。この組み合わせにあまり意味を見出せないが、薬指で持ってふらついた状態を小指で安定させる、小指だとパワーが弱いのを薬指でフォローする、という両者の働きを確認する練習になるかもしれない。


以上、3つの指での知見です。適当にまとめます。

人差し指・中指:繊細な運弓
人差し指・薬指:快活な運弓
人差し指・小指:安定した運弓
中指・薬指  :腕・手首の練習
中指・小指  :小指による移弦の練習(憶測)
薬指・小指  :薬指と小指の連携の練習(憶測)


④各指の役割3 人差し指と中指と薬指と親指、等、4本ずつでのアプローチ

 

指の数が増えると、結局普段どおりの運弓に近い。

●人差し指・中指・薬指
弓先での普段通りの運弓。

●人差し指・中指・小指
普段通りの運弓。というか、普段は薬指のことをあまり考えないので(邪魔だ、と思っている)本当の意味で、普段通りの運弓。

●人差し指・薬指・小指
普段通りの運弓。中指を抜くことで、普段(5本で持つとき)よりやや固い音を出せるか?

●中指・薬指・小指
人差し指を抜いた組み合わせだが、4本で持つので安定している。人差し指が一番制御が巧みで、人為的な指と考えるなら、それを抜いた、中・薬・小指での運弓はいわば、一番自然な、無垢な運弓が、自然で無垢な音が出るのでは、と考えている。無為自然


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最後に注意点ですが、こういった練習をする際は弓を落とす危険性があります。十分に注意をし、なんなら下に布団を敷く、むしろ布団の上で練習する、などしたら安心かと思います。

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以上、長くなりましたが、バイオリン運弓における各指の機能・役割考察です。
上記はあくまで趣味でバイオリンを弾いている個人の主観です。技術はバイオリンの師匠から学ぶのが大事だと考えています。
まあ参考になる点があればいいかなと思います。こういった練習は自分の技術を知ることにつながると思いますし、なにより面白いです。

この練習で一番面白かったのは、薬指のバカ指っぷりで、「バカとはさみは使いよう」の言葉よろしく色んな可能性を感じました。
また、役に立ったのが、人差し指の腹で弓をすくいあげるようにすることで、空っ風のような軽やかな音が出しやすくなったかなと感じています。

 


ブログでバイオリンのことを書くなら、まずこれを書きたかった。

 

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こういったことは、バイオリン教育の場で色んな方が語ってきたことなのかもしれません。インターネット上でも、僕の知らないところで論じられているのかもしれません。

まあ、思いついたことを自分のことばで説明してみたかった、ということです。